前述の通り、強い痛みがある、あるいは痛みがなくても自分の歯に何らかの異変を感じ取ったとき、その問題を解決しようと歯科を訪れることになります。しかしながら、虫歯の治療はなかなか大変なものです。まず、虫歯によって穴が開いてしまった部分の内壁や底部を削り、虫歯の箇所をすべて取り除きます。虫歯の進行を止めるためには、歯を削るという行為はどうしても必要になります。

たとえば、近年登場した３Mix治療法では３種類の薬剤を使用して虫歯を治しますが、全く歯を削らないかというとそうではありません。虫歯の穴に薬を詰めてセメントや樹脂で蓋をしたとしても、穴の内壁の組織が崩れて軟化している状態では薬を密閉することができず、漏れ出してしまいます。当然ながらこの状態では薬は効かず、虫歯が治癒することはありません。従って、正しい３Mix治療法は虫歯の内壁を削る一方、底の部分は削らずに薬を塗布して治すというものです。この方法なら薬は密閉されて漏れ出すこともなく、虫歯の底部を削らずに済むため大切な歯の神経を温存できるというメリットもあります。